2019.11.21

ターンアウトの先にある本物~バレエの本当の難しさ~

岸本 亜沙美

岸本 亜沙美
ターンアウトの先にある本物~バレエの本当の難しさ~

目次

バレエの「難しさ」とは何なのか?

 

 

バレエにとって「ターンアウト」(アン・ドゥオール)は、絶対になくてはならない、一番大切なものです。

 

しかし、その一番大事なターンアウトを一番おろそかにして踊ってしまっては、もはやバレエをやっているとは言えなくなってしまいます。

 

 

そもそもバレエのレッスンの目的は、きちんとしたターンアウトで踊れる体作りをすること、脚を正しく外旋したポジションを崩すことなく動けることを第一に目指しているものです。

 

しかし、バレエをやりたいどんな人でもすぐにターンアウトが出来るかといえば、それは大変難しいです。

 

そして、ターンアウトができれば誰でもきちんと踊れるかといえば、それもとても難しいのです。

 

 

なぜなら、ターンアウトは脚が開ければ良いのではない、「使い方を学ぶレッスン」が必要だからです。

 

世界最高峰のバレエ学校、ワガノワバレエアカデミーの選び抜かれた生徒達も、まずはターンアウトができることが前提で選ばれています。

 

1年生から既に限度一杯のターンアウトをしっかりとしてレッスンしていますが、脚が最大限に開けて立てたとしても、それで完成したダンサーではもちろんありません。

 

そこから、来る日も来る日も、ターンアウトを少しも崩さず自在に身体を操るための過酷な練習が繰り返されます。

 

どんなにターンアウトができても、それですぐに踊れるわけではなく、逆にターンアウトができてしまっているがために、まるで平均台の上で真横に足を向けて立っているのと同じような、本当にバランスを取るのが精一杯の状態でレッスンしているのです。

 

日々の過酷なレッスンで全身の筋肉が鍛えられ、ターアウトの状態に慣れるまで、いかに立っているだけでも大変か、

 

 

「バレエの何が難しいの?」と思う方は、ぜひ一度足を180°真横に向け、爪先が絶対前に向かないように頑張りながら、お尻を出さず、一直線に引かれた線の上に立ってみて下さい!

 

 

最初から苦もなく脚が開くような人間でも、その状態で動くのは本当に至難の業、しかしどんなに大変でも、それが本物のバレエの上達のために本当に大事な、一番バレエの体を鍛えられる、効率的なレッスンなのです。

 

■ターンアウトがなぜ「身体を鍛える」のか?

 

 

ターンアウトは身体の様々な部位と連携し合い、上体の筋肉とも密接に関わって動きを作るため、体幹が自然と強化されていく効果があります。

 

脚を「正しく」外旋しなければ繋がらない体幹の筋肉があり、その繋がりの中でターンアウトをキープしたり、一連の動きを作り出します。

 

つまり、本当のターンアウトは股関節どころか全身で行っているといえます。

 

結果的にターンアウトで行うレッスンそのものが最も効果のある「体幹トレーニング」ともなるのです。

 

更に、ターンアウトを使うことで、踊る力は格段にアップします。

 

なぜなら、ターンアウトは形としての見た目以外に、「力」として必要なものであり、ターンアウトが正しくできればできるほど「力学的」に有利になり、その力をどのように使うかがとても大事だからです。

 

『ターンアウトには様々な利点』がありますが、実はターンアウトなしには何も成立しないほど「大事な力」であり、その力の繋がりを余すことなく活用した動きで構成されているのがバレエの技巧です。

 

「動きやすさ」のためのターンアウトであり、外旋から生まれるスクリューのような力と、それを体全体に伝達し作用しあうことで増幅され、体の安定性にも関わり、様々な動きの源となります。

 

その力の使い方を知り、意図的に操作できるようになれば「上手くいくこと」がたくさんあります。

 

そのための訓練が「様々な決まり事」を伴うバレエのレッスンの本当の意味であり、ターンアウトの力を上手く扱えるようになるまでの過程一つ一つが、長い年月はかかりますが、とても大切なプロセスなのです。

 

究極のターンアウトは、実は脚の筋肉だけでは不可能で、上半身の筋肉も適応させなくてはやりきれない動作です。

 

骨盤周りの筋肉は当然のこと背筋・腹筋ともセットの作業であり、骨盤は完全に水平でないと外旋しきれず、その腰の上に肋骨もきちんとセットされないと完全に横を向いた脚の上にきちんと立つことは出来ません。

 

それは『普通の骨格の位置とは全く違う』ので、全身の骨格を正しくセットする方法を覚え、保つ筋力も付けないといけないのです。

 

脚のみならず全身の筋肉、特に発達が難しいインナーマッスルが深く関係するので、『難しさの質』が格段に違います。

 

また、股関節だけで脚を真横に向けられるほどの可動域は人体にはありません。

 

最大限のターンアウトは膝下も参加させなければ実現できないのです。

 

ですから、常に本来の位置に戻りたがる様々な骨・筋肉との闘いがバレエの過酷なレッスンの正体です。

 

そんな難しいターンアウトでの立ち方ですが、身体も含めたバレエの美しさには絶対に必要なものです。

 

みなさんが悩み、よくわからないと嘆く「引き上げ」の正体も、実はターンアウトの力を上体に繋げて上手く使っている結果でもあります。

 

そして『付け根から正しくターンアウトしないと絶対に育たない筋肉』があり、それが美しく正確に踊るための最も重要な筋肉になります。

 

太く発達しない性質の筋肉で、体を引き締める効果も絶大にあり、体型を美しく整えるための重要な筋肉でもあります。

 

しかし、それは本当に脚全体をきちんとターンアウトした場合であり、足先だけで開いたように見せかけた『間違ったターンアウト』では腿や上体の筋肉の状態は変わらず、上半身の筋肉の強さや正確性、調整力は必要にならず全く育てられません。

 

根元から回さない脚は普通に前を向いた状態と大して変わらず、特別に上体を強化させコントロールする必要がないからです。

 

その状態でいくらレッスンしてもバレエに必要な筋肉トレーニングに繋がらず、それでテクニックが出来たとしてもそれは本当に脚全体を回して完成させた技術とは全く比較になりません。

 

同じ回転や跳躍でも、不完全なターンアウトときちんとしたターンアウトで行うのでは、『完成に至るまでの過程と難しさが何倍も違う』のです。

 

外に向いた脚に本当に慣れて、上手く操作出来るようになるのを辛抱強く待たなくては完成しない技能が『本物』です。

 

それは、本物のターンアウトにはトルネードのような力が生まれ、更に最大限に広がった可動域を利用することで、力みや反動とは全く違うエネルギーが活用できるようになり、より自然で流れるような美しい動きと最大限の可動域からのダイナミックな動き、更には安定性をも生み出すことが可能になるからです。

 

本来、バレエの動きや立ち方は全てターンアウトの力で成り立っているものです。

 

 

【脚を完全に外旋すればするほど、その状態でポーズを保ったりきちんと動くことは非常に困難であり、初歩の段階や低年齢でバレエらしい技術が出来ることはあり得ないのがバレエの本当の難しさです】

 

 

股関節・膝・足首全てを使って完全なターンアウトをすると、当然支える足の面積がかなり狭くなり、その狭い幅の上にきちんと上体を乗せて保てなければたちまちヨレヨレになって倒れてしまうのが本当のターンアウトなのです。

 

つまり、本来身体を支えたり動く際に主動的に使われる筋肉が、本当に真横に向けたターンアウトでは使えなくなってしまい、代わりとなって身体を支える筋肉を特別に強化しなくては動けるようにならないのですが、

 

足先だけ横を向けた悪いターンアウトや、ほとんど開いていない脚だと普段使い慣れた筋肉で動けてしまうこと、そしてそれが更に前腿やふくらはぎなど肥大しやすい筋肉を発達させる原因になり、逆に『バレエに向かない体』になってしまうといった具合です。

 

ですから本当のバレエは先ずは全ての筋肉をきちんと使ったターンアウトを経験しないと始まらないといえるのです。

 

そしてその先のレッスンは、ターンアウトをどう使って動くのかという、「きちんと計画された指導法」がどうしても必要です。

 

でないと、何のために大変な思いをして脚を開く訓練をしてきたのか意味がありません。

 

そして、ターンアウトができない悩みも、骨格条件よりレッスンのやり方、質にも大きな問題があり、厳格なポジションを身に付ける前にテクニックに走ってしまうことで、ターンアウトを保つ力を養う機会を失わせているというのが実情です。

 

「日本人だからできない」のではなく、『出来るようになるレッスン』が全くなされていないことが最大の原因ともいえるのです。

 

バレエは本当に難しいです。

 

でも、その難しさの意味が、「脚を高く上げるから」とか「回転を一杯するから」ではなく、そもそも立っていることすら出来ない状態からのスタートだから、です。

 

バレエのレッスンで一体何を鍛えているのか、何が鍛えられるのか、ターンアウトのことももっと正しく知って、本当にきちんと踊るためのレッスンや過程を大切に考えて欲しいと思います。

 

 

◆ターンアウト(アン・ドゥオール)を向上させるには

◆ターンアウトが必要な理由〈2〉ターンアウトを使うってどういうこと?

◆バレエのレッスンで一番大切なことは何か

 

 

■ターンアウトで悩んでいる方、使えていない方、もっと詳しく知りたい方は、バレエの悩み相談も承っておりますので、どうぞお気軽にご相談下さい。

 

東京世田谷区|ワガノワメソッドを極める本気改善バレエ教室 アサミバレエクラスへ興味を持たれた方はまずは体験レッスンにお越し下さい。

バレエの「難しさ」とは何なのか?

 

 

バレエにとって「ターンアウト」(アン・ドゥオール)は、絶対になくてはならない、一番大切なものです。

 

しかし、その一番大事なターンアウトを一番おろそかにして踊ってしまっては、もはやバレエをやっているとは言えなくなってしまいます。

 

 

そもそもバレエのレッスンの目的は、きちんとしたターンアウトで踊れる体作りをすること、脚を正しく外旋したポジションを崩すことなく動けることを第一に目指しているものです。

 

しかし、バレエをやりたいどんな人でもすぐにターンアウトが出来るかといえば、それは大変難しいです。

 

そして、ターンアウトができれば誰でもきちんと踊れるかといえば、それもとても難しいのです。

 

 

●なぜなら、ターンアウトは脚が開ければ良いのではない、「使い方を学ぶレッスン」が必要だからです。

 

世界最高峰のバレエ学校、ワガノワバレエアカデミーの選び抜かれた生徒達も、まずはターンアウトができることが前提で選ばれています。

 

年生から既に限度一杯のターンアウトをしっかりとしてレッスンしていますが、脚が最大限に開けて立てたとしても、それで完成したダンサーではもちろんありません。

 

そこから、来る日も来る日も、ターンアウトを少しも崩さず自在に身体を操るための過酷な練習が繰り返されます。

 

どんなにターンアウトができても、それですぐに踊れるわけではなく、

逆にターンアウトができてしまっているために、まるで平均台の上で真横に足を向けて立っているのと同じような、本当にバランスを取るのが精一杯の状態でレッスンしているのです。

 

日々の過酷なレッスンで全身の筋肉が鍛えられ、ターンアウトの身体に慣れるまで、いかに立っているだけでも大変か…

 

「バレエの何が難しいの?」と思う方は、ぜひ一度足を180°真横に向け、爪先が絶対前に向かないように頑張りながら、お尻を出さず、一直線に引かれた線の上に立ってみて下さい!

 

最初から苦もなく脚が開くような人間でも、その状態で動くのは本当に至難の業、

 

しかしどんなに大変でも、それが本物のバレエの上達のために本当に大事な、一番バレエの体を鍛えられる、効率的なレッスンなのです。

 

 

■ターンアウトがなぜ身体を「鍛える」のか?

 

 

ターンアウトは身体の様々な部位と連携し合い、上体の筋肉とも密接に関わって動きを作るため、体幹が自然と強化されていく効果があります。

 

脚を「正しく」外旋しなければ繋がらない体幹の筋肉があり、その繋がりの中でターンアウトをキープしたり、一連の動きを作り出します。

 

つまり、本当のターンアウトは股関節どころか全身で行っているといえます。

 

結果的にターンアウトで行うレッスンそのものが最も効果のある「体幹トレーニング」ともなるのです。

 

更に、ターンアウトを使うことで、踊る力は格段にアップします。

 

なぜなら、ターンアウトは形としての見た目以外に、「力」として必要なものであり、ターンアウトが正しくできればできるほど「力学的」に有利になり、その力をどのように使うかがとても大事だからです。

 

『ターンアウトには様々な利点』がありますが、実はターンアウトなしには何も成立しないほど「大事な力」であり、その力の繋がりを余すことなく活用した動きで構成されているのがバレエの技巧です。

 

その力の使い方を知り、意図的に操作できるようになれば「上手くいくこと」がたくさんあります。

 

そのための訓練が「様々な決まり事」を伴うバレエのレッスンの本当の意味であり、ターンアウトの力を上手く扱えるようになるまでの過程一つ一つが、長い年月はかかりますが、とても大切なプロセスなのです。

 

股関節・膝・足首の全てを使ってきちんとターンアウトするのは、実は脚の筋肉だけでは不可能で、脚と繋がる上半身の筋肉も適応させなくてはやりきれない動作です。

 

骨盤周りの筋肉は当然のこと腹筋ともセットの作業であり、骨盤は完全に水平でないと外旋しきれず、その腰の上に肋骨もきちんとセットされないと完全に横を向いた脚の上にきちんと立つことは出来ません。

 

それは『普通の骨格の位置とは全く違う』ので、全身の骨格を正しくセットする方法を覚え、保つ筋力も付けないといけないのです。

 

脚のみならず全身の筋肉、特に発達が難しいインナーマッスルが深く関係するので、『難しさの質』が格段に違います。

 

また、股関節だけで脚を真横に向けられるほどの可動域は人体にはありません。

 

最大限のターンアウトは膝と足首も参加させなければ実現できないのです。

 

ですから、常に本来の位置に戻りたがる様々な骨・筋肉との闘いがバレエの過酷なレッスンの正体です。

 

 

そんな難しいターンアウトでの立ち方ですが、身体も含めたバレエの美しさには絶対に必要なものです。

 

みなさんが悩み、よくわからないと嘆く「引き上げ」の正体も、実はターンアウトの力を上体に繋げて上手く使っている結果でもあります。

 

そして『付け根から正しくターンアウトしないと絶対に育たない筋肉』があり、それが美しく正確に踊るための最も重要な筋肉になります。

 

太く発達しない性質の筋肉で、体を引き締める効果も絶大にあり、体型を美しく整えるための重要な筋肉でもあります。

 

しかし、それは付け根を含めた脚全体できちんとターンアウトした場合であり、

膝や足首だけを捻って足先だけで開いたように見せかけた『間違ったターンアウト』では腿や上体の筋肉の状態は変わらず、上半身の筋肉の強さや正確性、調整力は必要にならず全く育てられません。

 

全身の繋がりで回さない脚は普通に前を向いた状態と大して変わらず、特別に上体を強化させコントロールする必要がないからです。

 

その状態でいくらレッスンしてもバレエに必要な筋肉トレーニングに繋がらず、それでテクニックが出来たとしてもそれは本当のターンアウトを使って完成させた技術とは全く比較になりません。

 

同じ回転や跳躍でも、不完全なターンアウトときちんとしたターンアウトで行うのでは、『完成に至るまでの過程と難しさが何倍も違う』のです。

 

外に向いた脚に本当に慣れて、上手く操作出来るようになるのを辛抱強く待たなくては完成しない技能が『本物』です。

 

それは、本物のターンアウトにはトルネードのような力が生まれ、更に最大限に広がった可動域を利用することで、力みや反動とは全く違うエネルギーが活用できるようになり、

より自然で流れるような美しい動きと最大限の可動域からのダイナミックな動き、更には安定性をも生み出すことが可能になるからです。

 

本来、バレエの動きや立ち方は全てターンアウトの力で成り立っているものです。

 

【脚を完全に外旋すればするほど、その状態でポーズを保ったりきちんと動くことは非常に困難であり、初歩の段階や低年齢でバレエらしい技術が出来ることはあり得ないのがバレエの本当の難しさです】

 

 

本来身体を支えたり動く際に主動的に使われる筋肉が、本当に脚全体を使って真横に向けたターンアウトでは使えなくなってしまい、代わりとなって身体を支える筋肉を特別に強化しなくては動けるようにならないのですが、

 

足先だけ横を向けた悪いターンアウトや、ほとんど開いていない脚だと普段使い慣れた筋肉で動けてしまうこと、そしてそれが更に前腿やふくらはぎなど肥大しやすい筋肉を発達させる原因になり、逆に『バレエに向かない体』になってしまうといった具合です。

 

ですから本当のバレエは、先ずは本当にきちんとしたターンアウトを経験しないと始まらないといえるのです。

 

そしてその先のレッスンは、ターンアウトをどう使って動くのかという、「きちんと計画された指導法」がどうしても必要です。

 

でないと、何のために大変な思いをして脚を開く訓練をしてきたのか意味がありません。

 

そして、ターンアウトができない悩みも、骨格条件よりレッスンのやり方、質にも大きな問題があり、厳格なポジションを身に付ける前にテクニックに走ってしまうことで、ターンアウトを保つ力を養う機会を失わせているというのが実情です。

 

「日本人だからできない」のではなく『出来るようになるレッスン』が全くできていないことが最大の原因ともいえるのです。

 

 

バレエは本当に難しいです。

 

 

でも、その難しさの意味が、脚を高く上げるから、とか、回転を一杯するから、ではなく、そもそも立っていることすら出来ない状態からのスタートだから、です。

 

バレエのレッスンで一体何を鍛えているのか、何が鍛えられるのか、ターンアウトのことももっと正しく知って、本当にきちんと踊るためのレッスンを頑張って欲しいと思います。

 

 

◆ターンアウト(アン・ドゥオール)を向上させるには

◆ターンアウトが必要な理由〈2〉ターンアウトを使うってどういうこと?

◆バレエのレッスンで一番大切なことは何か

 

■ターンアウトで悩んでいる方、使えていない方、もっと詳しく知りたい方は、バレエの悩み相談も承っておりますので、どうぞお気軽にご相談下さい。

 

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