2023.02.02

バレエの基礎を正しく学ぶことの難しさ

岸本 亜沙美

岸本 亜沙美
バレエの基礎を正しく学ぶことの難しさ

目次

■バレエの基礎レッスンは、あまりに踊りらしくなくて、どうしてそれをやらないといけないのか意味もわかりにくく、つまらなそうで、もっと踊りらしいことをしたいとか、早く難しいテクニックを練習しないと間に合わない、など焦りも出てきてしまいがちですが・・・

 

~バレエを幼い頃から始めた方も、大人から始めた方も、誰もが向き合ってほしい、バレエの基礎をきちんと学ぶことの難しさについてお話します~

 

バレエは「基礎が一番難しい」と理解するまで、とても長い年月がかかります。

 

或いはずっと気付かない人もいるかもしれません。

 

子供も大人も、始めたばかりの頃は何もわからず、ただ見よう見まねでそれらしい形や動きに見せるのが精一杯。

 

本当は一番初めが一番肝心なのに、最初は何が大切な基礎で、どう大事なのかもわからない、どんなレッスンが正しいかなんて、わかりようがないのです。

 

幼少期から始めても、それこそ右も左もわからず、おぼつかない体でバレエの厳密な動きなど何一つできるはずもなく、ただお遊戯をしているだけに過ぎません。

そのようなお稽古は本当は全くバレエではなく、子供の発育に良い影響があればそれはそれで良いのですが、バレエを習っていると考えてはいけません。

 

大人の方も、大人だからという理由できちんとしたものが学べず、バレエだと思ってやっていたものが全然いい加減なものだったということもあるかもしれません。

 

しかし、年齢や経験が上がってきて、本当にバレエに対して真剣になった時、最初に訳もわからず習った基礎がどんなにメチャクチャで酷いものだったとしても、もう一番大切な基礎をやるレッスンには戻れなくなっていたり、やり直すことなく難しいことをこなすレッスンをせざるを得ない、

 

或いは、自分のやってきたことが本当の基礎とはかけ離れたことをしていたとは想像すらしていないかもしれません。

 

将来を真剣に考えたり、上達に行き詰った時にようやく見えてくるのが基礎の本当の大切さと難しさなのです。

 

もしその時点でもまだ、基礎を「初歩でやる簡単なこと」と考え、「もうそんな段階ではない」とか「今更」とか思っているのであれば、残念ながらその程度で終わってしまうことでしょう。

 

 

バレエの基礎の難しさは、海外の国立バレエ学校でやっているような、本当に厳格なレッスンを実際にやってみない限り、誰でもわからないと思います。

 

保護者の方が見学しても、見ているだけではピンと来ないようで、「何であなたはそんなことも出来ないの!?」と子供を叱咤してしまったり、

 

以前、世界最高峰のバレエ学校、ワガノワバレエアカデミーの基礎レッスンの映像を見ていただいたこともあったのですが、何も難しそうな動きがない中で、どんなにピシッと立ったロシアの選ばれし子供達の映像を見ても、そのように立つことがどれだけ難しく、条件も必要かわからなかったようで、9歳でまだそんなことをしているなんてロシアの教育は遅れているのね、などと思ったであろう方達も残念ながらおりました…。

 

バレエの一番の基礎、バレエがバレエであるための、「脚を真横に向けて立って動くことの難しさ」がこんなにも伝わらないことが本当に悲しく、それを蔑ろにして回転や脚上げ自慢をすることがどれだけバレエからかけ離れているか、もっともっと知っていただかなくては、この先も基礎のないことに苦しむ人達が後を絶たなくなってしまいます。

 

基礎は簡単だから最初に学ぶのではなく、本当にすべての土台になる一番大切なものだから、どんなに難しいテクニックでも最初に身に付けた基礎が根底にあるからです。

 

●バレエの基礎の本当に大切な部分は、形として見えるものではありません。

 

それは一体どういうことでしょうか?

 

手足のポジション、ポーズの形などもちろん大事なものです。

しかし、大切なことはそれだけではなく、動く力をどこで生み出し、どのような力でどう動くか、がとても大事な基礎であり、メソッドで順を追って厳格に学んでいるのは「力の使い方」の習得なのです。

 

その力の使い方が、バレエにしかない「ターンアウト」が根本にあるので、何をおいても脚を極限まで外に廻して立つ訓練を徹底しなくてはなりません。

 

そして、考え抜かれた型は、だた形としてだけ覚えればいいものではなく、力のないうちに無理なやり方で間違ったクセが付かないよう、段階的に確実に正確な技術が身につくように計算して作られたもの、ワガノワメソッドの優れたシステムの正体です。

 

しかし、意味がわかれば納得もできて凄いと思えますが、その段階の基礎は実際の華やかな踊りとは似ても似つかない、なぜそんな地味で単純なことをしているのか、それがどう役に立つのか、先に進んでみなければ全くわからないのです。

 

基礎をやっている時のあまりのつまらなさと、どうしてこれをやらないといけないのか意味のわからなさが基礎を蔑ろにしがちで、もっと踊りらしいことをしたいとか、早く難しいテクニックを練習しないと間に合わない、など焦りも出てきてしまいます。

 

しかし、実際はどんなに焦っても土台がしっかりしていない建物の見栄えばかりを気にして上辺を取り繕っている欠陥住宅のようなもの。

 

基礎がしっかりしていないバレエも、派手にやってみたとしても、その中身は至るところに欠陥が潜んでいるのです。

 

 

バレエの基礎の本当の大切さは、誰もが先に進んでから身に染みるもの…

 

そこで気付いて、逆に基礎の大切さや難しさを本当の意味で悟ってやり直すことができたなら、それまでのことも決して無駄にはならない意義あることと確信しています。

 

自分の基礎の未熟さや、基礎の本当の意味の大切さに気付いたならば、その時点で一日でも早く、勇気を出して、基礎を根本から見つめ直し、もっと本当に有意義なレッスンで、大好きなバレエを本気で極めてみませんか!?

 

 

◆関連するコラム⇒本格的なバレエは何歳からが適しているか

■バレエの基礎レッスンは、あまりに踊りらしくなくて、どうしてそれをやらないといけないのか意味もわかりにくく、つまらなそうで、もっと踊りらしいことをしたいとか、早く難しいテクニックを練習しないと間に合わない、など焦りも出てきてしまいがちですが・・・

 

 

~バレエを幼い頃から始めた方も、大人から始めた方も、誰もが向き合ってほしい、バレエの基礎をきちんと学ぶことの難しさについてお話します~

 

バレエは「基礎が一番難しい」と理解するまで、とても長い年月がかかります。

 

或いはずっと気付かない人もいるかもしれません。

 

子供も大人も、始めたばかりの頃は何もわからず、ただ見よう見まねでそれらしい形や動きに見せるのが精一杯。

 

本当は一番初めが一番肝心なのに、最初は何が大切な基礎で、どう大事なのかもわからない、どんなレッスンが正しいかなんて、わかりようがないのです。

 

幼少期から始めても、それこそ右も左もわからず、おぼつかない体でバレエの厳密な動きなど何一つできるはずもなく、ただお遊戯をしているだけに過ぎません。

 

そのようなお稽古は本当は全くバレエではなく、子供の発育に良い影響があればそれはそれで良いのですが、バレエを習っていると考えてはいけません。

 

大人の方も、大人だからという理由できちんとしたものが学べず、バレエだと思ってやっていたものが全然いい加減なものだったということもあるかもしれません。

 

しかし、年齢や経験が上がってきて、本当にバレエに対して真剣になった時、最初に訳もわからず習った基礎がどんなにメチャクチャで酷いものだったとしても、もう一番大切な基礎をやるレッスンには戻れなくなっていたり、やり直すことなく難しいことをこなすレッスンをせざるを得ない、

 

或いは、自分のやってきたことが本当の基礎とはかけ離れたことをしていたとは想像すらしていないかもしれません。

 

将来を真剣に考えたり、上達に行き詰った時にようやく見えてくるのが基礎の本当の大切さと難しさなのです。

 

もしその時点でもまだ、基礎を「初歩でやる簡単なこと」と考え、「もうそんな段階ではない」とか「今更」とか思っているのであれば、残念ながらその程度で終わってしまうことでしょう。

 

 

バレエの基礎の難しさは、海外の国立バレエ学校でやっているような、本当に厳格なレッスンを実際にやってみない限り、誰でもわからないと思います。

 

保護者の方が見学しても、見ているだけではピンと来ないようで、「何であなたはそんなことも出来ないの!?」と子供を叱咤してしまったり、

 

以前、世界最高峰のバレエ学校、ワガノワバレエアカデミーの基礎レッスンの映像を見ていただいたこともあったのですが、何も難しそうな動きがない中で、どんなにピシッと立ったロシアの選ばれし子供達の映像を見ても、そのように立つことがどれだけ難しく、条件も必要かわからなかったようで、9歳でまだそんなことをしているなんてロシアの教育は遅れているのね、などと思ったであろう方達も残念ながらおりました…。

 

バレエの一番の基礎、バレエがバレエであるための、「脚を真横に向けて立って動くことの難しさ」がこんなにも伝わらないことが本当に悲しく、それを蔑ろにして回転や脚上げ自慢をすることがどれだけバレエからかけ離れているか、もっともっと知っていただかなくては、この先も基礎のないことに苦しむ人達が後を絶たなくなってしまいます。

 

基礎は簡単だから最初に学ぶのではなく、本当にすべての土台になる一番大切なものだから、どんなに難しいテクニックでも最初に身に付けた基礎が根底にあるからです。

 

●バレエの基礎の本当に大切な部分は、形として見えるものではありません。

 

それは一体どういうことでしょうか?

 

手足のポジション、ポーズの形などもちろん大事なものです。

しかし、大切なことはそれだけではなく、動く力をどこで生み出し、どのような力でどう動くか、がとても大事な基礎であり、メソッドで順を追って厳格に学んでいるのは「力の使い方」の習得なのです。

 

その力の使い方が、バレエにしかない「ターンアウト」が根本にあるので、何をおいても脚を極限まで外に廻して立つ訓練が先行します。

 

そして、考え抜かれた型は、だた形としてだけ覚えればいいものではなく、力のないうちに無理なやり方で間違ったクセが付かないよう、段階的に確実に正確な技術が身につくように計算して作られたもの、ワガノワメソッドの優れたシステムの正体です。

 

しかし、意味がわかれば納得もできて凄いと思えますが、その段階の基礎は実際の華やかな踊りとは似ても似つかない、なぜそんな地味で単純なことをしているのか、それがどう役に立つのか、先に進んでみなければ全くわからないのです。

 

基礎をやっている時のあまりのつまらなさと、どうしてこれをやらないといけないのか意味のわからなさが基礎を蔑ろにしがちで、もっと踊りらしいことをしたいとか、早く難しいテクニックを練習しないと間に合わない、など焦りも出てきてしまいます。

 

しかし、実際はどんなに焦っても土台がしっかりしていない建物の見栄えばかりを気にして上辺を取り繕っている欠陥住宅のようなもの。

 

基礎がしっかりしていないバレエも、派手にやってみたとしても、その中身は至るところに欠陥が潜んでいるのです。

 

 

バレエの基礎の本当の大切さは、誰もが先に進んでから身に染みるもの…

 

そこで気付いて、逆に基礎の大切さや難しさを本当の意味で悟ってやり直すことができたなら、それまでのことも決して無駄にはならない意義あることとと確信しています。

 

自分の基礎の未熟さや、基礎の本当の意味の大切さに気付いたならば、その時点で一日でも早く、勇気を出して、基礎を根本から見つめ直し、もっと本当に有意義なレッスンで、大好きなバレエを本気で極めてみませんか!?

 

◆関連するコラム⇒本格的なバレエは何歳からが適しているか